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完全失業率の構造 — 年齢・求人倍率から読み解く雇用の今

全体の完全失業率は2%台半ばで安定しているが、年齢別に見ると15〜24歳は約2倍の水準。失業率と求人倍率の関係からいまの雇用構造を読み解く。

2026-02-18ISVD編集部

はじめに

「失業率2.5%」という数字だけを見ると、日本の雇用環境は安定しているように映ります。しかし、年齢別に分解すると、その景色は大きく変わります。

この記事では、労働力調査と職業安定業務統計のデータを用いて、いまの失業構造を3つの視点から読み解きます。

1. 全体の失業率推移 — 2%台半ばの安定

完全失業率の推移(季節調整済み)

2025年12月 / 単位: % / 出典: 労働力調査(総務省統計局)

直近24ヶ月の完全失業率(季節調整値)は、おおむね2.4〜2.7%の範囲で推移しています。リーマンショック後の5%超と比較すると大幅に改善しており、マクロで見た雇用環境は安定していると言えます。

ただし、この「平均値」には大きな落とし穴があります。

2. 年齢別に見ると — 若年層は全体の約2倍

年齢階級別 完全失業率

2025年11月 / 単位: % / 出典: 労働力調査(総務省統計局)

年齢階級別に見ると、15〜24歳の失業率は4.9%と全年齢平均の約2倍の水準です。一方、45〜54歳は2.3%、65歳以上は1.9%と低い値になっています。

この構造的な差には、いくつかの要因が指摘されています。

  • 職業経験の不足: 新卒一括採用の枠に入れなかった場合、中途市場での競争力が低くなる傾向
  • ミスマッチ: 求人はあっても、希望する職種・条件と合致しないケース
  • 離職率の高さ: 新卒3年以内の離職率は約3割(厚生労働省調べ)

3. 求人倍率との関係 — 量と質のギャップ

有効求人倍率の推移(季節調整済み)

2025年12月 / 単位: / 出典: 職業安定業務統計(厚生労働省)

有効求人倍率は1.2倍台で推移しており、求人数が求職者数を上回る状況が続いています。数字の上では「人手不足」ですが、それがそのまま「就職しやすさ」に結びつくわけではありません。

求人倍率が高くても失業率が下がりきらない背景には、雇用の質的なミスマッチがあります。

  • 事務職の求人倍率は0.4倍台(求職者過剰)
  • 建設・介護分野は3倍超(人手不足)
  • 正社員求人倍率は全体より低い

ISVDの視点

ISVDは「社会構想をデザインする」という使命のもと、こうした雇用データの裏にある「個人のキャリアの困りごと」に向き合っています。

統計は全体の傾向を示しますが、一人ひとりの状況はそれぞれ異なります。ISVDでは今後も、マクロデータと現場の声を掛け合わせた分析を続けていきます。


出典

  • 総務省統計局「労働力調査 基本集計」
  • 厚生労働省「職業安定業務統計(一般職業紹介状況)」
  • 統計ダッシュボード(総務省)

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e-Stat(政府統計の総合窓口)のAPI機能を使用してデータを取得しています。