はじめに
「失業率2.5%」という数字だけを見ると、日本の雇用環境は安定しているように映ります。しかし、年齢別に分解すると、その景色は大きく変わります。
この記事では、労働力調査と職業安定業務統計のデータを用いて、いまの失業構造を3つの視点から読み解きます。
1. 全体の失業率推移 — 2%台半ばの安定
完全失業率の推移(季節調整済み)
2025年12月 / 単位: % / 出典: 労働力調査(総務省統計局)
直近24ヶ月の完全失業率(季節調整値)は、おおむね2.4〜2.7%の範囲で推移しています。リーマンショック後の5%超と比較すると大幅に改善しており、マクロで見た雇用環境は安定していると言えます。
ただし、この「平均値」には大きな落とし穴があります。
2. 年齢別に見ると — 若年層は全体の約2倍
年齢階級別 完全失業率
2025年11月 / 単位: % / 出典: 労働力調査(総務省統計局)
年齢階級別に見ると、15〜24歳の失業率は4.9%と全年齢平均の約2倍の水準です。一方、45〜54歳は2.3%、65歳以上は1.9%と低い値になっています。
この構造的な差には、いくつかの要因が指摘されています。
- 職業経験の不足: 新卒一括採用の枠に入れなかった場合、中途市場での競争力が低くなる傾向
- ミスマッチ: 求人はあっても、希望する職種・条件と合致しないケース
- 離職率の高さ: 新卒3年以内の離職率は約3割(厚生労働省調べ)
3. 求人倍率との関係 — 量と質のギャップ
有効求人倍率の推移(季節調整済み)
2025年12月 / 単位: 倍 / 出典: 職業安定業務統計(厚生労働省)
有効求人倍率は1.2倍台で推移しており、求人数が求職者数を上回る状況が続いています。数字の上では「人手不足」ですが、それがそのまま「就職しやすさ」に結びつくわけではありません。
求人倍率が高くても失業率が下がりきらない背景には、雇用の質的なミスマッチがあります。
- 事務職の求人倍率は0.4倍台(求職者過剰)
- 建設・介護分野は3倍超(人手不足)
- 正社員求人倍率は全体より低い
ISVDの視点
ISVDは「社会構想をデザインする」という使命のもと、こうした雇用データの裏にある「個人のキャリアの困りごと」に向き合っています。
統計は全体の傾向を示しますが、一人ひとりの状況はそれぞれ異なります。ISVDでは今後も、マクロデータと現場の声を掛け合わせた分析を続けていきます。
出典
- 総務省統計局「労働力調査 基本集計」
- 厚生労働省「職業安定業務統計(一般職業紹介状況)」
- 統計ダッシュボード(総務省)